勉強会の記録

2021.8.29更新

このページの内容

視覚に障害がある日本語学習者への教育経験のある先生がたとの研究交流会(2021-08-25, オンライン開催)の記録

日時・参加者

  • 日時:2021年8月25日(水)13:00〜15:00
  • 情報提供者:河住有希子(日本工業大学)、藤田恵(立教大学)
  • 参加者:池谷尚美(横浜市立大/ドイツ語)、植村麻紀子(神田外語大/中国語)、中川正臣(城西国際大/韓国語)、古屋憲章(山梨学院大/日本語)、松浦歩美(目白大学生/韓国語学習者)、山崎直樹(関西大学/中国語)

進行方法

Zoomミーティングによる座談会形式(初めに30分ほどプレゼンをしていただく)。参加者は事前に河住先生、藤田先生の関係論文に目を通し、当日は基本的に参加者からの質問に答えていただく、という形態で進行する。

  • 秋元美晴・河住有希子・藤田恵(2014)「点字使用者の日本語学習に関する調査ー日本語能力試験点字冊子試験受験経験者の日本語学習―」『恵泉女学園大学紀要』26
  • 秋元美晴・河住有希子・藤田恵・浅野有里(2015)「障害者の権利保障と日本語能力試験点字冊子試験の合理的配慮に関する一考察」『恵泉女学園大学紀要』27
  • 秋元美晴・浅野有里・河住有希子・北川幸子・藤田恵(2016)「視覚に障害をもつ日本語学習者をとりまく学習環境の現状と課題—授業を担当する教師を対象とした調査より—」『恵泉女学園大学紀要』28
  • 秋元美晴・河住有希子・藤田恵・北川幸子・浅野有里(2017)「授業ダイアリから見る教師の気づきと変容—視覚に障害のある学習者への日本語授業の分析から—」『恵泉女学園大学紀要』29

当日の内容の資料

インクル科研2020年度第1回研究会(2020-09-06, オンライン開催)の記録

保志茂寿(来賓)の報告

著者ご本人に参加していただき、下記の論文を紹介していただきました。

  • 近藤晶子・保志茂寿・吉村敦美・海老名貴子・水野雅方(2018). 「日本語学校における視覚障害をもつ日本語学習者への支援」『日本語教育センター紀要』(14), 46-59.

古屋憲章の報告

『「発達障害」とされる外国人の子どもたち: フィリピンから来日したきょうだいをめぐる、10人の大人たちの語り』を題材に、外国人児童生徒に対する学校教育からの二重の排除(「外国人であること」による排除と「障害児とされること」による排除)が、教員等周囲の人の善意により成立する構造を紹介した。(古屋の資料, PDF

池谷尚美の報告

読書報告: 伊藤亜紗(2018).『どもる体』(医学書院)。吃音のメカニズムを解明しつつ、当事者によるその特性との対処法を、聞き手の立場からまとめている。当事者の視点だけではなく、聞き手の立場から、当事者にどう寄り添っていくかについても論じられている。(池谷の資料, PDF

植村麻紀子の報告

綾屋紗月編(2018)『ソーシャル・マジョリティ研究:コミュニケーション学の共同創造』(金子書房)を紹介し、私たち言語教育従事者が「当事者」から学べることは何か、当事者の語りをどのような形で言語教育の現場に落とし込むのかについて、問題提起した。(植村の資料, PDF

中川正臣の報告

発達障害がある人々の一人ひとりの声に耳を傾ける、ナラティブ研究の著書第1章を勉強会に取り上げた。(中川の資料, PDF

山崎直樹の報告

「言語景観」と「言語保障」について、どのような文献があるかと主な文献の目次を紹介した。(山崎の資料, PDF

インクルージョンに関する勉強会(2019-03-01, 城西国際大学紀尾井町キャンパス)の記録

池谷尚美の報告

多様な背景を持った学習者を理解・支援するために何をしたら良いのかを目的とし、授業のユニバーサルデザインに関する論文と、インクルーシブ教育に関する論文をそれぞれ一本ずつ紹介し、両者の違いを比較検討した。

紹介した文献:

  • 「UDLに基づく英語授業実践:-大阪教育大学附属平野地区での取組-」, 加賀田哲也, 吉田晴世, 阪上瑞穂, 『コンピュータ&エデュケーション』40(0), 44-48, 2016. (この文献をCiNiiで見る
  • 「特別支援教育におけるインクルーシブ教育システム構築について:インクルーシブ教育システム構築と合理的配慮の実際」, 中島栄之介, 『奈良学園大学紀要』 / Bulletin of Nara Gakuen University 9, 111-118, 2018-10. (この文献をCiNiiで見る

古屋憲章の報告

「当事者主権」という概念を紹介したうえで、複数の日本語教育研究者の言説を「学習者と教師のいずれに主権があると考えているか」という観点で批判的に考察した共著論文(執筆中)を紹介した。そして、論文をもとに、学習者を当事者であるとした場合、どのような言語教育が構想されるかに関し、議論した。

  • 紹介した文献: 『当事者主権』(中西正司・上野千鶴子、岩波書店、2003)

植村麻紀子の報告

「当事者」とは誰か、「当事者研究」とは誰がどのように行うものなのか、について、石原2013『当事者研究の研究』に書かれていることを抜粋して紹介し、私たち言語教育従事者が「当事者研究」から学べることは何か、自分の教育現場における応用についての考察を述べた。

  • 紹介した文献:『当事者研究の研究』(石原孝二編、医学書院、2013)
  • 植村による上掲書の読書メモ(PDF, 2019-08-30修正)

中川正臣の報告

現在、私が進める研究(対象者:脳性麻痺を持つ韓国語学習者)において行われたインタビューデータをもとに、今後の研究の方向性や、本研究における私自身の立ち位置について参加者からアドバイスをもらった。

  • 参考にした文献:『脳性麻痺ハンドブック 療育にたずさわる人のために』(第2版、穐山富太郎・大城昌平・川口幸義編著、医歯薬出版、2015)

山崎直樹の報告

下記の1の図書の内容に沿って「インクルーシブ・デザインとは何を指すのか」「ユニバーサル・デザインとは何が違うのか」についての著者らの考えかたを紹介した。2の図書のアウトラインを紹介した。

  1. 『インクルーシブ・デザイン:社会の課題を解決する参加型デザイン』(ジュリア・カセム他編著、学芸出版社、2014)
  2. 『学習障がいのある児童・生徒のための外国語教育:その基本概念、指導方法、アセスメント、関連機関との連携』(ジュディット・コーモス他、明石書店、2017)