ケース教材 - Inclusion

当組織が製作した事例教材

2025.3.5更新

現在制作中の事例教材の概要

現在、当組織は、以下のような事例教材の開発を進めています。なお、各事例のタイトルは、今後、変更される可能性があります。

ケース01: 漢字は手で書かなければならない? (冒頭部分)
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ケース01: 漢字は手で書かなければならない?

  1. あなたは手で文字を書くことが困難な学習者に接したことがありますか。その学習者は具体的にどのような困難を抱えていましたか。
  2. 手で文字を書くことが困難な学習者は、言語学習を行ううえで、どのような困難があると思いますか。
  3. 言語を学習するうえで、文字を手で書くことは必要だと思いますか。それはどうしてですか。

学習障害の一つに手で字を書くことに困難を抱える書字障害があります。外国語の学習に限らず、学習においては、これまで伝統的に、板書を書き写す、手で書いて覚える等、手で書くことが重視されてきました。しかし、近年の急速なデジタルデバイスの発展により、学習において、手で書くことは必ずしも必須ではなくなってきています。BYOD(Bring Your Own Device)を推奨する教育機関も多くなってきました。一方で、特に日本語教育や中国語教育、あるいは国語教育において、漢字を学習する場合、手で書くことが必須であると考える教師も多いようです。

本ケースでは、手で文字を書くことに困難を抱えた学習者に関するケースをとおして、学習障害を抱えた学習者を包摂することの意味や多様性と言語教師のビリーフの関係を考えます。

ケース02: スケジュール管理が苦手で、忘れ物ばかり (冒頭部分)
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ケース02: スケジュール管理が苦手で、忘れ物ばかり

  1. あなたは今まで友達との約束や課題の提出を忘れてしまったことがありますか。普段、あなたはスケジュール管理で工夫していることはありますか。
  2. いままでに、スケジュール管理に苦労している人が身近にいましたか。また、そのような人は、大学生活や言語学習などの授業の場で、どのような困難に直面すると思いますか。
  3. あなたは自分が担当している学習者の件で、大学や教育機関から「配慮申請」を受けたことがありますか。その「配慮申請」に対して、あなたはどのように対応しましたか。
  4. 時間や期限を守ることについて、日本の社会通念ではどの程度重要視されていますか。「自己管理ができない人」はどのようなイメージで捉えられているでしょうか。

このケースで問題になっているのは主にスケジュール管理の問題です。これは言語学習だけではなく、大学生活、ゆくゆくは社会生活でも問題になる重要な事柄です。このケースでは、学習者が学習をよりスムーズに行い、より良い大学生活を送るための支援の可能性と、その際に教師として学習者の自律を促す教育者としての葛藤について考えます。

ケース03: 0から1にするのが苦手です (冒頭部分)
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ケース03: 0から1にするのが苦手です

  1. 出された課題を前に、立ちすくんでいる学習者を見たことがありますか。その学習者は具体的にどのような困難を抱えていましたか。
  2. 靴を履くときにブートストラップがあるように、初めの一歩を踏み出すのが困難な学習者に、言語学習を行ううえで、どのような支援ができると思いますか。
  3. 学習者にグループワークをさせるとき、教師はどのような役割を担えばよいのでしょう(どこまで支援すればよいのでしょう)。グループ内での相互支援があれば、教師の足場かけは不要でしょうか。

本ケースの学習者は肢体不自由であることから、高校まで特別支援学校に通っていました。そこでは、学習者一人ひとりに合わせて、教師が手厚くサポートする体制が取られていました。大学進学後も、障害支援室を中心に、本人の希望にできるだけ沿った支援計画が練られ、合理的配慮がされていますが、このような学習者にどの程度、どういった配慮をすべきか、現場の教師は戸惑うことも少なくありません。 本ケースでは、障害の有無に関わらず、初めの一歩を踏み出すのが困難な学習者に関するケースをとおして、言語教師がどのような足場かけ(Scaffolding)をすることができるか、またすべきかについて考えます。

ケース04: 人前で話すのが苦手なんです! (冒頭部分)
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ケース04: 人前で話すのが苦手なんです!

  1. あなたは学生が大勢の人の前で(口頭で)発言したり、発言することの意味についてどのように考えていますか。
  2. 何らかの事情により、教室で(口頭で)発言したり、発表したりすることに抵抗がある人に出会ったことがありますか。その時、あなたはどう思いましたか。
  3. あなたは教師として教室運営をしています。何らかの事情により、人前で発言したり、発表したりすることに抵抗がある人がいるとき、あなたの教室運営に影響があると思いますか。影響あるとしたら、どんな影響があると思いますか。
  4. 現代社会において人前で(口頭)で発言したり、発表したりすることは教室以外の社会でどれだけ求められているでしょう。

わたしたちは幼少期から大勢の人の前で、教師に発言を求められたり、発表を課されたりしてきました。そこにはどんな目的があったのでしょうか。それは必ずしも「大勢の人の前で」「口頭で」やるべきことなのでしょうか。このケースで人前で発言したり、発表したりすることに抵抗を持つような学生がいた場合、教師としてどのような対応をするかについて考えます。

ケース05: 授業中にヘッドフォンをつけている! (冒頭部分)
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ケース05: 授業中にヘッドフォンをつけている!

  1. あなたは、自分の授業で、受講生がサングラスをかけたまま、あるいはヘッドフォンをつけたままでいるのを見たら、どう対応しますか?しかも本人がそのことについて、何の説明もしようとしないとしたら?
  2. 授業に積極的に参加しようとしない人が教室内にいると、他の学習者は、あまり愉快ではありません。しかし、「積極的に参加」しようとしているかしていないかを、みんなどのように判断していると思いますか?逆に、どのように振る舞えば、「積極的に参加」していることになるのでしょうか?

世の中には、「感覚過敏」で困っている人々がいます。多くの人には何でもない音が爆音に聞こえる「聴覚過敏」、多くの人には何でもない明るさの光を耐えがたいほど眩しく感じる「視覚過敏」など、いろいろな過敏があります。この過敏さが社会生活を営むのに支障が出るほどだと「障害」と扱われたりもします。 このケースでは、「聴覚過敏」ではないかと思われる学習者を取り上げます。「聴覚過敏」は、他の人には何でもない音が大きな音に聞こえるというだけでなく、不安感、不快感、痛みなどを伴い、当事者にとっては深刻な問題だということにご注意ください。

MHB2023年研究大会(2023.8.5)で使った事例教材のサンプル

この2点は、母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)学会2023年研究大会における当組織の教材デモ「インクルーシブな言語学習環境について考えるための教師用ケース教材:社会レベルで考えることの意味」で使用しました。

この2点の教材の古いバージョンは、言語文化教育研究学会 (ALCE) 第9回年次大会のフォーラム「インクルーシブな言語学習環境をめざしたケース教材の開発:言語教育関係者のアウェアネスを高めるために」でも使用しました。